借金返済生活も終焉か?
借金返済の苦労は人の精神状態を変えてしまう。借金返済の地獄を甘く見ていた。日々、磨耗していく。借金の心配を常にしているわけじゃないんだけれど……何故か心労が溜まる。前はこんなに暴力的じゃなかったはずなのになぁ。つい、手を挙げてしまう。どうも我慢が足りない感じだ。借金と言う事実が、返済をしなければと言う思いが、僕の心に重圧をかけているのかもしれない。だとするのならば、借金返済の文字がほとんど頭にない父は、結構な大物なのだろう。大物の類義語は、鈍感とか馬鹿だとかでもいいんじゃないかと、そう思わなくもないけど。
さて。借金返済に二進も三進も行かなかったわけだけど……そんな状況に転機が訪れたのは、疲れから僕の眉が寄りがちになっていたある日のことだった。いや、転機と言うよりは、事の終わりと言うべきだろうか?借金返済苦も終わりになって欲しいと思っていた時のことだった。何にしろ、それは突然やって来た。
僕が学校とバイトを終えて帰ってくると、父がものすごく偉そうにソファーにふんぞり返っていたのだ。借金まみれのギャンブル親父のくせに。最近、借金返済生活で何かと殴られる機会が多かったので、父はよくこう言う威圧感を醸し出しそうなポーズを取るようになった。って言うか、殴られる原因は基本的に自業自得だと思うんだけどね? 借金とかギャンブルとか、空気を読まない発言とか。
「いい話がある。聞いて驚け。何とキャリーオーバーの出ていたくじに当選した。その額5400万円だ! これで借金返済が出来るな」「無茶な大金だけど、どうせオチは、よく見たらくじの番号が違ってたとか? そんな感じでしょ?」「違う。確かに当選していた。売り場のおばさんにも確認を取ったからな。間違いはない」一瞬、頭の中が真っ白になった。そして時間差を置いて、嬉しさや開放感が胸の中にやってくる「じゃ、じゃあ……当然、もう借金返済の心配はしなくていいんだよね?」「借金返済の生活からは脱出なんだね」「ああ、だが、一つだけ問題がある」「え? ど、どんな?」「当たっている現物をお前に見せようとして、持ち帰ったはずなのだが失くしたらしい」「だから借金返済も先延ばしだな」いやぁ、失敗失敗。そう言って笑う父を、僕は無言で殴り倒した。僕は、貴方が、本気で泣いて謝るまで、殴るのを止めない!
追記。懸命に探した結果、もうこの借金返済日記を書かなくてよくなったことだけは、ここに記しておく。って言うか、もうこのノートを開きたくもないよ、実際。でかでかと書いた借金返済の文字も、見たくないし。お疲れ様でした、僕とそして兄弟よ。借金親父にはお疲れ様だなんて、言ってやるもんか!って言うか、最後の最後まで運でどうにかする我が父。ある意味、幸せな人なんだなぁと、羨ましくなった気がしないでもなかったよ。うん。でも羨ましいと素直に書くと、負けたみたいだから、書かない。書いてやらない。絶対。でも借金返済はどうするのだろう?
借金返済日記13日目:当選くじを再回収する。
特記事項:借金返済に目処が立つ
現在の状況:嬉しいはずなのに、何故か釈然としない……。
借金返済が無事に、かつ唐突に終わりました。
でも、父は放置するとまた不味い事をしそうなので、目を光らせようと思います。ちなみに不味い事って言うのは、言うまでもなく借金とか借金とか借金とか。以下略